フランス公演レポート ナント篇
さて、いよいよ最終公演。
一行は、フランスはパリ→トゥール→ナントと、
とうとう最終日のナント市入りをした。
バスの揺れがまた心地よく、窓の向こうの景色を目に
焼き付けようとしていたのに、いつの間にか眠りについてしまっていた…。
パーキングエリアに着いた頃には、辺りの景色がガラリと表情を変えていた。
向こうが見えないくらいの広い草原に、たくさんの牛や馬。
まるで、絵本の中の世界のような景色が広がる。
美しく流れる川の湖面には、絵画で見た世界がそのまま映し出されているようだった。
次の3枚の写真は、トゥールの町の風景である。
バスを降りて、ホテルへ直行したのち、夕飯へ出かけた史佳と高橋竹山会一行は、
今回のフランスで、一番美味しいレストランに出会うのであった。
と、共に、フランスへ来てから一番の言葉の壁にぶち当たり、苦労するのであった。
翌日、いよいよナント市にての最後の公演。
この日は、史佳、高橋 竹育の二人で親子共演。
そこに少し、松井 リカのパーカッションが加わるとゆうものだった。
今回のナントでの演奏、パリでの公演とは違い、演奏できる曲数は時間の都合上2曲、
そしてリハーサルの音出しも出来ない為、少しの不安が残る中、
ステージに立たなければならないという事であった。
毎回の事ながら、この親子からは不安の表情は全くもってみられない。
もし心の中や頭の中を覗ける機械があれば、是非覗いて見たいもんだ。
まるでお城の中のような建物の階段を上がると、大きなフローリングの部屋へと案内される。
縦長のとても大きな部屋。
一番奥にはフランスと日本の国旗が、掲げられており、
三人は演奏前、国旗にも深々とお辞儀をしていた。
まずは三人での津軽じょんから節。
調弦の時点で、笑みがこぼれそうになるのをこらえた。
なんともまぁ音の反響が良く、三味線の音がとても心地よく響くのである。
パリでのあのデッドな環境はなんだったんだ!とゆうくらい、
フローリングとカーペットの差は大きいのだ。
環境も良い。音もよい。なのに2曲のみとゆうのが悔しいくらいである。
三人での合奏が終わると、史佳一人での即興曲を、披露した。
即興曲の一番最初の音。
右手のバチで鳴らした音から左手で弦をダイナミックに揺らす。
そして弦の響きを最大限に引き出す。
一気に鳥肌が立った。
余韻が、消えるか消えないかの間に次の2音目が響く。
この弦の響き、なんと言葉に出来ようか?
やはり文章ではその素晴らしさは薄れてしまうのか…
私はその響きに、目を閉じて深くうなづいていた。
「これだ。これが響き三味線の素晴らしい音色だ!」と。
終演後の史佳の笑顔には、本当に気持ち良く弾けたのだとゆう気持ちが伝わってきた。
そして、私はまた素晴らしい演奏を、目の当たりにしたのであった。
終演後も国旗に向かい深々とお辞儀。
フランスと日本、これからも益々親交が深まるよう、祈るのであった。
今回のフランスのレポートを書きながら、私はつくづく思った。
小林 史佳とゆう一人の男は、私の想像以上の人物であると。
史佳40年の人生は、普通の人の2倍も3倍も濃い内容を
過ごしてきたんではないかと感じさせられたような気がしてならない。
この40年で進化した史佳は、今後も50.60と歳を重ねる度、どんどんお客様を、魅了していくであろう。
彼にはただならぬものを感じてならない。
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フランス公演 パリ篇、ナント篇
レポーター 松井 リカ