2014年10月31日|カテゴリー:
ライブレポート
さて、いよいよ最終公演。
一行は、フランスはパリ→トゥール→ナントと、
とうとう最終日のナント市入りをした。
バスの揺れがまた心地よく、窓の向こうの景色を目に
焼き付けようとしていたのに、いつの間にか眠りについてしまっていた…。
パーキングエリアに着いた頃には、辺りの景色がガラリと表情を変えていた。
向こうが見えないくらいの広い草原に、たくさんの牛や馬。
まるで、絵本の中の世界のような景色が広がる。
美しく流れる川の湖面には、絵画で見た世界がそのまま映し出されているようだった。
次の3枚の写真は、トゥールの町の風景である。



バスを降りて、ホテルへ直行したのち、夕飯へ出かけた史佳と高橋竹山会一行は、
今回のフランスで、一番美味しいレストランに出会うのであった。
と、共に、フランスへ来てから一番の言葉の壁にぶち当たり、苦労するのであった。

翌日、いよいよナント市にての最後の公演。
この日は、史佳、高橋 竹育の二人で親子共演。
そこに少し、松井 リカのパーカッションが加わるとゆうものだった。
今回のナントでの演奏、パリでの公演とは違い、演奏できる曲数は時間の都合上2曲、
そしてリハーサルの音出しも出来ない為、少しの不安が残る中、
ステージに立たなければならないという事であった。
毎回の事ながら、この親子からは不安の表情は全くもってみられない。
もし心の中や頭の中を覗ける機械があれば、是非覗いて見たいもんだ。
まるでお城の中のような建物の階段を上がると、大きなフローリングの部屋へと案内される。
縦長のとても大きな部屋。
一番奥にはフランスと日本の国旗が、掲げられており、
三人は演奏前、国旗にも深々とお辞儀をしていた。
まずは三人での津軽じょんから節。

調弦の時点で、笑みがこぼれそうになるのをこらえた。
なんともまぁ音の反響が良く、三味線の音がとても心地よく響くのである。
パリでのあのデッドな環境はなんだったんだ!とゆうくらい、
フローリングとカーペットの差は大きいのだ。
環境も良い。音もよい。なのに2曲のみとゆうのが悔しいくらいである。
三人での合奏が終わると、史佳一人での即興曲を、披露した。

即興曲の一番最初の音。
右手のバチで鳴らした音から左手で弦をダイナミックに揺らす。
そして弦の響きを最大限に引き出す。
一気に鳥肌が立った。
余韻が、消えるか消えないかの間に次の2音目が響く。
この弦の響き、なんと言葉に出来ようか?
やはり文章ではその素晴らしさは薄れてしまうのか…
私はその響きに、目を閉じて深くうなづいていた。
「これだ。これが響き三味線の素晴らしい音色だ!」と。
終演後の史佳の笑顔には、本当に気持ち良く弾けたのだとゆう気持ちが伝わってきた。
そして、私はまた素晴らしい演奏を、目の当たりにしたのであった。
終演後も国旗に向かい深々とお辞儀。
フランスと日本、これからも益々親交が深まるよう、祈るのであった。
今回のフランスのレポートを書きながら、私はつくづく思った。
小林 史佳とゆう一人の男は、私の想像以上の人物であると。
史佳40年の人生は、普通の人の2倍も3倍も濃い内容を
過ごしてきたんではないかと感じさせられたような気がしてならない。
この40年で進化した史佳は、今後も50.60と歳を重ねる度、どんどんお客様を、魅了していくであろう。
彼にはただならぬものを感じてならない。
——————-
フランス公演 パリ篇、ナント篇
レポーター 松井 リカ

2014年10月23日|カテゴリー:
ライブスケジュール
激しく、唸りをあげるほどの力強さが最高潮に達した次の瞬間、
ピアニッシモの包み込むような繊細で優しい世界が広がる。
三味線と体が一つとなったように自由自在に(又は無意識的に)
演奏するその姿は、楽器を越えた身体表現となり、
体の奥底に流れる潜在意識を呼び覚ます。
あなたの原点に響く音、史佳Fumiyoshiの郷愁の三絃を、
心ゆくまで堪能していただきたい。

【日時】2015.1.17(土) 午後1時30分開演(午後1時開場)
【場所】りゅーとぴあ・コンサートホール
【料金】全席自由 前売券3,000円(税込)〈当日は500円増〉
※未就学児入場不可
【主催】新潟日報社
【協力】新潟グランドホテル、(株)廣瀬、丸屋本店、ベルフーズ
【賛助出演】新潟高橋竹山会
【衣装協力】JAMES
【プレイガイド】インフォメーションセンターえん(メディアシップ1F)・
りゅーとぴあ・新潟伊勢丹・文信堂CoCoLo万代(新潟駅地下)・
トップトラベル新潟(デッキィ401内)・
セブンイレブン(セブンコード:034-288)
【お問合せ】新潟日報社企画事業部
TEL.025-385-7470(平日9:30〜17:30)
2014年10月11日|カテゴリー:
その他レポート・
ライブレポート
新潟・フランス協会パリ支部&新潟日報社欧州国際交流拠点
開設1周年記念演奏会
史佳、4度目となるフランス公演の日がいよいよやってきた。
9/22、新潟空港より出発し、ソウル仁川経由でパリへ。
一行が現地入りしたのは、夜の19時すぎ。
空港からホテルまでは専用車にて移動。
再び降り立ったパリの夜景は、史佳の心にどう映ったであろうか。
窓越しに見える横顔に、心の中までは映してくれなかった。

<過去のフランス公演>
2002年5月 フランス•パリ公演 フランス日本大使館公邸、フランス文化センター
2009年11月 フランス•ナントオペラ座演奏会
2011年12月 フランス•パリ ルーブル美術館LEDライティングアップセレモニーナポレオンホールレセプションパーティー記念演奏
9/23日(火曜)
「プルルルル」ホテルのモーニングコールと共に迎えたパリの朝。
朝食はやはりパンにフルーツ、卵にハム、チーズと、いかにもだ。
しかしながら史佳は米派なのである。
彼のみなぎるエネルギーは、新潟のお米「コシヒカリ」から生まれているといっても過言ではない。
するとどうだろう。お味噌汁と白米が並んでいるではないか!!
さすがに「コシヒカリ」ではないだろうが、美味しく炊かれた白米。
フランスに来ても、史佳の引きの強さは衰える事を知らないようだ。

この日、午前中は専用車にてパリ市内観光。
「ショイヤー宮、シャンゼリゼ通り、エッフェル塔」など、パリの代名詞を堪能。
足早に観光を済ませ、ホテルに戻るや否や、今回の真の目的、演奏会の時間が迫る。

夕方17時、いよいよこの時が来た。
ホテルは「ノボテル」内バンケットにて、式典・小林史佳・高橋竹育三味線記念演奏。

有意義な朝からは一変、一気に集中力を高める。
演奏者として気になる事の一つとして、環境がある。
どういう会場なのか、広さは?床はフローリング?カーペット?音の反響は?
などなど、演奏だけに集中できない場合も多い。
ましてはここはフランス。日本ではないし、言葉の壁もある。
16時から軽くリハーサルを兼ねての音出し。
いつものように調弦から始める史佳。
すぐさま今日の環境はなかなか厳しいことを理解する。
床が一面絨毯の為、音が吸収されてしまい、とてもデッドな状況なのだ。
音の反響が無く、三味線の響きがなかなか得られない状態であり、
ましてや人が入るとさらに音が吸われてしまい、環境はさらに悪くなる。
私ならとても不安になるが、史佳の表情からはそういった不安要素は全く見られなかった。
逆に、この状況でも最高の響き三味線を弾いてやろうといった、強い意気込みを感じさせるオーラを感じた。
今回の演奏曲目、彼はどうしてもやりたい曲があった。
それは3年前、パリルーブル美術館にて演奏した、史佳のオリジナル曲「宇宙の花」である。
この曲は、作曲家・長岡 成貢氏が史佳の為に書き下ろした曲で、
愛をテーマにした壮大な広がりのある曲である。
自分の大切な人を想って聴いてもらいたい曲である。
3年前のあの日、史佳はルーブル美術館で出来立てのこの曲を世界初演していた。
3年の月日が彼の三味線を更に研ぎすまし、この曲のテーマである「愛」が壮大な広がりとなり、
聴く人の心に、今までよりも大きな感動を与える事となるであろう。
時刻は17時。
白いテーブルクロスに奇麗に並べられたスプーンやフォーク。
会場は1周年を祝うにふさわしい準備がされていた。
やはり史佳といえば和装ではないだろうか?
真っすぐに伸びた姿勢の良さが、彼の三味線に対する真っすぐな姿勢を表すかのようだ。
大きな拍手で迎えられた史佳は、まずは独奏「三味線じょんから~津軽よされ節」をメドレーで披露した。

リハーサルで確認した通り、環境は決して良いものではなかった。
しかしなぜだろうか、気迫とでも言おうか?
予想していたものと随分違ったものがそこにはあった。
史佳の左手と右手の織りなす技は、三味線と心技一体となり、
過酷な状況をも打ち砕く強い「音」となって出ていた。
かなりの集中力と精神統一があった事はいうまでもないだろう。
会場にいた人たちが全員、史佳の音を静かに聞き入る。
一瞬たりとも気持ちにブレを見せない独奏は圧巻であった。
また、会場の空気を一瞬で自分の物にする説得力のある演奏は、
見る者、聴く者の心を掴んで離さないのだ。
軽く会釈をしたのち、次曲、新潟高橋竹山会(この日は4名)と、
それを率いる高橋竹育(史佳の母であり師匠である)と合奏、「綜合曲」を披露。
この綜合曲をいうのは、初代高橋竹山師が、津軽三味線の独奏曲として、初めて作曲した曲である。
今の津軽三味線の独奏スタイルを確率した歴史的な曲であり、また名取りの曲でもある。
史佳を含めた5人での合奏。
やはり一斉に5本の三味線が鳴ると、迫力がでるものだ。
史佳と高橋竹育。この2人が軸となり、合奏を纏める。
独奏とはまた違った気迫を感じる合奏。
要所要所で入るかけ声に、また緊張感を感じる。

3曲目は、親子競演にて、津軽あいや節。
この曲は、史佳の母であり師匠である高橋竹育が、一番大切にしている曲である。
この親子競演、本当に見る度、聴く度、そのプレイに納得させられる。
二人とも全く手元を見ないし、お互いの顔も全く見ず、ただ真っすぐに視線を前に向けている。
なのに、息がぴったりで、どうしてその間がわかる?!というように、まさに親子にしか出来ない演奏なのだ。
そしてこの日のあいや節はいつもにも増して、すばらしかったように感じた。
このシチュエーションだからなのか?
いや、そうではない。
そこには国境を超えても心を動かす真の技と、親子の絆があった。
4曲目はまた新潟高橋竹山会との合奏「津軽じょんから新節」。
この曲は、津軽三味線で一番ポピュラーであり、早弾きの醍醐味を体感できる曲である。
今回史佳のソロパートの箇所に、パーカッション松井リカが加わっての初試みであった。
5本の三味線の合奏から、史佳の三味線と松井リカのリズムが激しく絡み合い、再び合奏へと戻る。
最後の回しの合奏はリズムも入り、また今までとは違った雰囲気となり、会場は多いに盛り上がりを見せた。
5曲目は史佳独奏「秋田荷方節」を、パーカッション入りで披露。
右手のバチが一定のリズムを刻んでいき、非常にテンポ感のある曲である。
リズムがはいることにより、とても聴きやすく感じる上、二人の息のあったプレイが見物であった。
最後の1音がぴったり合った時にはもう鳥肌がでたほどである。

ここで一旦ステージを移動して、いよいよ史佳オリジナル曲の演奏へと移る。
和装から洋装へと着替えをし、また違ったテイストで登場した史佳。
史佳といえば和装と言ったが、結局の所、洋装もいい。
6曲目は、冒頭でも説明した、「宇宙の花」
古典の曲とは全く違い、バイオリンや鍵盤、ベースやドラムといった現代的音楽に三味線の音を交えての演奏。
この曲、今回演奏する事に特別なこだわりを持っていたが、彼の心中はどうであっただろうか?
演奏中は何を思っていただろうか?
誰を想っていただろうか?
3年目とどう違った手応えを感じただろうか?

特別な想いが込められた曲は、やはり聴く人にも伝わるのでしょう。
この曲で多くの人が心動かされ感動したとおっしゃられていた。
また演奏中、丁度夕日が沈む時間帯と重なり、壁一面の窓からは、オレンジ入色の光が暖かく差し込み、
とても曲とマッチしており、すばらしい演出効果にもなっていた。
ラストはこれも史佳オリジナル曲「桃花鳥」
史佳が作曲したこの曲は、37歳という若さで亡くなった先輩を想って作った曲である。
大空に羽ばたくトキをイメージし、心の中にはいつもその命が輝き続けているというメッセージを込めている。
後から知った話だが、彼は昔、涙でなかなか演奏できなかったらしい。
今はようやく泣かずに演奏できるようになったらしく、どれだけの思い入れがある曲かがよくわかる。
悲しい曲かと思われそうだが、テンポの良いリズミカルな曲で、
大空に羽ばたくトキのイメージがそのまま曲になったかのようである。
盛り上がりをみせる中盤では手拍子が起こり、立ち上がって踊る人や、手をあげて踊る人も出て、
会場が一体となり、演奏が終わる頃には大きな拍手と歓声に包まれていた。
こうしてフランス・パリの記念すべき演奏初日が幕を閉じた。
過酷な環境にも左右されない演奏は、彼の間違いない技と、心の強さ、
そして伝えようとするその心の現れではないだろうか。
残すは最終日のナントにての演奏。
お楽しみに。。。つづく。